Q & A

Q1.関節リウマチになったら、どのような症状がでるのでしょうか
A1.関節の痛みや腫れが数週間持続します。関節リウマチの場合、関節の腫れは、中にゼリーがつまっているようなぶよぶよとした腫れ方をします。関節の痛みは、動かしたときだけでなく、じっとしているときにも痛みます。特に、朝起きたときにこわばることがよくあります。関節の腫れる場所も重要です。関節リウマチでは、一番指先の関節が腫れることはほとんどありません。一方、指先から二番目、三番目の関節や、手首の関節がよく腫れます。また、関節以外の症状として、咳や息切れ、皮膚の出血斑、目の充血、などの症状がでることがあります。

Q2.関節リウマチを疑ったら、どのような検査をするのでしょうか
A2.血液検査や関節のレントゲン検査を行います。血液検査で、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体の値が高いと、関節リウマチが疑われます。特に、抗CCP抗体は関節リウマチだけに高くでる傾向がつよく、リウマチ発症の早期から検出されますので、診断の助けになります。また、CRPやESR(赤沈)という炎症を示す指標も高くなっていることが多いです。関節のX線撮影は、関節リウマチに特徴的な骨の破壊が見られるか検査します。診断を確実にするために、関節エコー検査やMRI検査を行う場合があります。

Q3.関節リウマチではないかと思います。何科へ行けばいいでしょうか
A3.関節リウマチの患者さんは、内科(リウマチ内科、膠原病内科)と整形外科で診察しています。いずれの科を受診されても構わないのですが、ひとつの目安として、「リウマチ」ということを示している病院、医院を受診するのがいいと思います。
 また、当センターのように、リウマチ内科と整形外科が合同で関節リウマチ患者さんを診る「リウマチセンター」がある病院もあります。二つの科が共同で患者さんを診ているような病院を受診して、症状や病状に応じて診察していただくとよりよいと思います。

Q4.関節リウマチは遺伝しますか
A4.関節リウマチは遺伝病ではありません。双子の研究で、一卵性双生児の2人が共に関節リウマチを発症する確率は約15%と言われています。もし遺伝病であれば、その確率は100%になるはずです。
 しかし一方で、関節リウマチになりやすい遺伝的な素因というものは存在します。例えば、血縁に関節リウマチ患者さんがいる場合、一般と比べて関節リウマチを発症する率が高くなることが知られています。
 つまり、関節リウマチは、遺伝病ではありませんが、関節リウマチになりやすい遺伝的な素因というものはあると考えられています。

Q5.関節リウマチは一生治らない病気なのでしょうか
A5. 
 1.発症早期(関節症状がでてから半年以内の方)
 すべての方ではありませんが、積極的に治療介入することで治癒(薬が全くいらなくなる)する可能性があります。専門医は常にこの状態を目指しています。また早期から治療介入することで結果的に医療費が少なくてすむことも知られています。
 2.長期罹患されている方(関節症状が出てから2年以上)
 「治癒」は難しいですが、「寛解(薬の服用で健常人とほぼ同様の生活ができる)」にもちこむことはしばしば可能です。薬剤の副作用に注意しながらこの状態に近づけられるようわれわれは努力しています。

関節症状の出現時期にかかわらず適切な治療を行うべきですが、早い時期から(思い立ったらすぐ)治療することが「リウマチを治す」ために最も重要です。

Q6.血液検査はなぜたびたびしなければいけないのでしょうか
A6.血液検査は
 1.リウマチの診断
 2.リウマチの活動性評価
 3. 薬剤の副作用チェック
 4.合併症のチェック
 などのために行われます。したがってリウマチの診断がついて治療が始まった後でも、リウマチの勢いが強くて薬剤の種類やその量を変化させている時期では2週間〜1か月おきに血液検査が必要です。一方、薬剤の有効性が十分に認められてリウマチがうまくコントロールされている場合には3か月から6か月に1度程度でもよい場合があります。患者さんによりチェックすべき項目と血液検査の頻度は異なりますので、ぜひ主治医の先生に相談してみて下さい。

Q7.新しい注射の薬があると聞きました。どんな薬なのでしょうか
A7.「生物学的製剤」という注射薬がすでに多くの患者さんに使用され、すばらしい効果を上げています。いままでの飲み薬と異なり、われわれの体にある「免疫グロブリン」というタンパク質を合成し直してリウマチの炎症に関わるタンパク質(TNF/IL-6)、リウマチの免疫異常に関わるT細胞をおさえこめるように工夫した高分子の製剤です。

飲み薬と異なる利点は
 1.効果が早く、かなりの確率で効く
 2.骨がこわれたり変形してしまうのを抑えこめる
 3.発症早期から使用すると、リウマチの「治癒(いずれ薬がやめられる)」が期待できる
 4.ステロイドを中止できることがある
 5.海外では生命予後を改善させる(寿命を延ばす)ことも報告されています

注意点は
 1.患者さんによっては、結核や特殊な肺炎など感染症が起こりうる
 2.保険適応薬であるが、治療費が高い
 3.100%効くわけではなく、またはじめは効いていても次第に効かなくなることがある
平成23年6月現在で5つの製剤が発売されています。年齢、合併症、併用薬などにより適応(使用できるかどうか)は患者さんによって異なりますので主治医にご相談ください。一般に、リウマチ患者さんで使用されている頻度は20-30%程度です。

Q8.リウマチと膠原病は違うのでしょうか
A8.われわれ専門医は、「関節リウマチ」は関節が壊れてしまう病気、膠原病は関節や筋肉の痛みのみでなく、皮膚やもっと重篤な内臓病変(肺、腎臓、肝臓、神経、血液など)を合併する病気ととらえています。膠原病には全身性エリテマトーデス、強皮症、筋炎、混合性結合組織病、血管炎などがありますが、一般にはステロイド治療を要するような関節・筋肉以外の病態を合併します。注意したいのは、リウマチに膠原病(シェーグレン症候群や血管炎など)が合併することがある点です。リウマチと膠原病の治療方法は異なります。関節の痛みやこわばりのみでなく、皮膚が変色する、高い熱が出る、検査で内臓が悪いといわれた、などの場合には主治医にご相談ください。

Q9.関節リウマチの変形は治らないのでしょうか
A9.関節リウマチにより関節が変形すると、その変形が自然に治ることはありません。生物学的製剤の使用により破壊された関節がある程度修復されることがありますが、関節変形が治るようことはありません。従って、関節リウマチはできるだけ早く診断し、適切な治療を開始して、できるだけ変形が生じないように疾患活動性(病気の強さ)をコントロールすることが重要です。変形による使いにくさや痛みがある場合は、装具を使ったり手術治療を受けることにより、使いにくさや痛みを改善することができます。変形している関節の部位や関節リウマチの病状により、治療方法や改善の程度が異なりますので、一度主治医にご相談下さい。

Q10.手術で変形は治るのでしょうか
A10.変形による使いにくさや痛みがある場合、手術でその変形を治し、使いにくさや痛みを改善することができます。手指の変形は、関節が変形している場合と、腱が切れて変形している場合(腱断裂)があります。手指関節変形の場合は、人工指関節置換術や関節固定術を行います。手指腱断裂の場合は、腱の縫合(腱移行術)や、腱移植術を行います。肘関節や肩関節、膝関節、股関節に対しては、人工関節置換術を行います。足関節の変形に対しては、人工足関節置換術や足関節固定術を行います。変形している関節の部位や関節リウマチの病状により治療方法や改善の程度が異なりますので、一度主治医にご相談下さい。

 変形に対しよく行われている手術方法
 1.手指の関節変形:人工指関節置換術、指関節固定術、関節形成術、滑膜切除術
 2.手指腱断裂による変形:腱縫合術(腱移行術)、腱移植術
 3.手関節の変形:手関節形成術、手関節固定術
 4.肘関節の変形:人工肘関節置換術、滑膜切除術
 5.肩関節の変形:人工肩関節置換術
 6.股関節の変形:人工股関節置換術
 7.膝の変形:人工膝関節置換術、滑膜切除術
 8.足関節の変形:人工足関節置換術、足関節固定術
 9.足趾の変形:人工趾関節置換術、切除関節形成術、矯正骨切り術、関節固定術

Q11.関節リウマチにサプリメントは効きますか
A11.サプリメントを使用して関節痛が軽減したという報告がいくつかありますが、関節リウマチが治ったり関節変形が修復されたという報告はほとんどありません。数多くの種類のサプリメントが市販されておりますが、アレルギーなど副作用の報告もあり注意が必要です。また現在病院で処方されている薬と合わない場合もあります。もし使用する場合は、販売元の説明書や用法をよく確認して下さい。よくわからない、不安だ、今飲んでいる薬と一緒に飲んでもいいか心配だ、など不明な点がありましたら、主治医にご相談ください。

Q12.関節リウマチにリハビリテーションはなぜ大切なのでしょうか
A12.関節リウマチは、関節に症状がおこる病気です。そしてこれにより、日常生活のさまざまな動作が難しくなっていきます。薬の治療や手術によって、関節の腫れ、痛み、変形を軽減させたり治すことはある程度可能ですが、最終的に関節は、使う練習をすることでしか、使えるようにはなりません。逆にいくら痛みも腫れも変形もない関節でも、使わないようにしていると、結局は使えない関節になってしまいます。したがって、リハビリテーションの継続は非常に重要です。リハビリテーションには、痛みや苦痛が伴うことがあるため、持続するのは大変です。しかし、最終的に、使える関節を回復したり維持したりして、それによって最も恩恵を受けるのは患者さんです。毎日の生活動作を工夫しながらなるべく自分でするようにしていくことが、最も効果的で重要なリハビリテーションです。医師やリハビリテーションの先生に相談しながら、毎日リハビリテーションを続けていきましょう。

Q13.日常生活で気をつけなければいけないことは、どのようなことでしょうか
A13.関節リウマチの治療には魔法も特効薬もありません。毎日の生活をいかにしっかり送るかということが最も重要です。もちろん薬は医師の処方通りに正確に飲む必要があります。ご自分の考えで薬を飲んだり飲まなかったりすることは、薬の効果が得られないだけでなく、害が起こることもありえます。しかしそれ以上に重要なのが、睡眠をしっかりとり、バランスのよい食事を心がけ、できる範囲で適度な運動をするなどの、自己管理です。身体のストレス、心のストレスは、病状を悪くすることが知られています。家族の方、周囲の方にも、病気のことを理解していただき、パンフレットやhomepageを参考にしていただいたり、講演会やリウマチ教室に参加していただいてください。私たちも、薬の処方や手術だけでなく、さまざまな面で体調管理、病気の管理をするためのお手伝いをしたいと思っています。あなたに関わるすべての人と一緒に、リウマチを治療していきましょう。