滋賀県長浜市との連携

進歩したリウマチ診療を広め、どの地域でも世界標準のリウマチ診療を受けられるようにするために、京大病院リウマチセンターは地方自治体である滋賀県長浜市と連携することといたしました。滋賀県長浜市との連携に至った経緯としては、長浜市が滋賀県北部地域の診療拠点であることに加え、もともと京都大学と長浜市との間には、「ながはまゼロ次コホート」という事業を介して深い関係があったことが挙げられます。「ながはまゼロ次コホート」は、京都大学が滋賀県長浜市の約1万人の市民を対象とした健康調査を行い、この健康調査の情報を京都大学の研究にも活用するという枠組みです。京大病院リウマチセンターも「ながはまゼロ次コホート」のデータを活用し、関節リウマチと歯周病のかかわりに関する研究を報告してきました(Terao C. Asai K. Hashimoto M. et al. Autoimmunity 2015)。

連携の具体的内容としては、地方自治体である滋賀県長浜市から京都大学の寄附講座「リウマチ性疾患先進医療学講座」に対して研究活動を支援していただく一方、京大病院リウマチセンターから市立長浜病院に対してリウマチ専門医を派遣し、診療レベルの向上を支援するという仕組みです。実際に、京大病院リウマチセンターとの連携が呼び水となり、市立長浜病院では常勤のリウマチ専門医が増え「ながはまリウマチセンター」の設立に至りました。そこには、京大病院リウマチセンターのスタッフが非常勤として参加し、市立長浜病院のスタッフとともにリウマチ診療の向上に努めています。さらに、京大病院リウマチセンターがKURAMAコホートで培ったノウハウを活用し、市立長浜病院におけるリウマチ診療データベース「ながはまRAコホート」の構築を支援しました。

関節リウマチの分野だけでなくすべての診療領域において、地域における専門医の不足は全国的な問題となっています。大学病院と地方自治体との協働により、地方自治体が大学の研究活動を支援する一方、大学病院が専門医を派遣するなどして地域の専門診療を支援する、という取り組みは、日本の地域医療を再生させる可能性を秘めています。

京大病院リウマチセンターと滋賀県長浜市との連携が、大学病院と地方自治体の協働による地域医療活性化のモデルケースになるよう、今後もより一層、滋賀県長浜市との連携を深めていきたいと考えています。

滋賀県長浜市との連携について


2017年9月10日 第1回長浜リウマチ市民公開講座
→当日は、223名の市民に御参加いただきました。詳細はこちら