関節リウマチにおける治療薬感受性・抵抗性に関わる因子の解明
1.はじめに
この研究への参加・不参加はあなたの自由に決められます
この説明文書は、あなたが参加されようとする研究の内容について記述したものです。この研究に参加されるかどうかは、あなたが以下の説明を理解し、納得されたうえでの自由な意思に基づきます。したがって、この研究への参加をお断りになっても何ら不利益を受けることもありませんし、参加に同意した場合でも、あなたの自由意思でいつでもこれをとりやめることができます。途中で取りやめた場合、あなたの試料やデータはただちに廃棄されます。また、後述のようにこの研究のデータは公的データベースに登録されますが、参加を取りやめた場合には、データベースからデータを削除し、その後の研究に提供しないようにデータベース側に要請します。ただし、研究の成果が、学会、学術雑誌などで公表された後に同意をとりやめた場合には、公表データを削除できないことがあります。
研究参加の同意書に署名される前にこの説明書をよく読み、わからないことがありましたら、研究担当医師にどんなことでも質問してください。
2.研究の目的
関節リウマチの治療薬の効く患者さんと効かない患者さんを比べます
関節リウマチの研究は近年急速に進歩し様々のことが分かってきていますが、まだまだ不明な点がたくさん残っています。例えば、炎症性サイトカインという物質が関節の炎症を悪化させていることが分かってきており、これらサイトカインを中和する薬が関節リウマチに対して実際に使われ始めています。これら治療がとても有効な患者さんがおられる一方であまり効果がない患者さんもおられます。このことは、関節炎を悪化させる別の物質が存在することを意味しています。
この研究では、最近新しく使われだした治療薬を中心に、治療薬を使う前と使った後の患者さんの状態を詳しく調べ、治療薬の効いた患者さんと効かなかった患者さんを比べることによって、ある患者さんに治療薬を使う前に、その薬が効くか効かないかがわかるようにならないか、また、効かない患者さんにはどんな新しい薬を使えばよくなるのか、について研究します。なお、この研究の一部は製薬株式会社との共同研究になり、試料の一部が共同研究先に送られて研究に使用されることがありますが、検体を提供いただいた患者さんを特定できるような個人の情報が企業に提供されることはありません。
3.研究の責任者及び担当者
この研究の責任者は、京都大学医学部附属病院整形外科 准教授 伊藤 宣で、アステラス製薬株式会社(研究責任者:須藤勝美)と共同して実施します。他に分担研究者として、同整形外科、リウマチセンター、免疫・膠原病内科の教官、医員、大学院生、共同研究機関の教官、研究員、大学院生を含みます。
4.この研究の方法
血液、尿、関節液を使います(関節液は抜く必要のある患者さんのみ採取します)
この研究では、関節リウマチと診断されている患者さんの血液と尿を使います。新たな治療薬を投与する前とその約3ヶ月後に、患者さんの通常の診療時に行う採血の際に余分に20mL程度採取させていただくとともに、尿を5mL程度採取させていただきます。また、関節液がたまって、治療のために関節液を抜く必要があるときは、本来捨てられる関節液を、研究用として使用させていただきます。これらを用いて、患者さんの病気の状態の情報とともに分析し、患者さんの体内に多くある、ないし少ないたんぱく質や遺伝子を調べ、その機能を研究します。なお、この研究の過程で、あなたの遺伝子の配列情報がわかることがあります。
5.提供していただいた方への利益・不利益(危険性)と医学上の貢献度の予測
研究の成果を関節リウマチ患者さんの将来の診断・治療に活用します
この研究のためだけに新たに採血や関節液採取を行うことはなく、また、重度の貧血がある患者さんからは採血しません。採血は、診療に伴う採血時に追加で20mL採血するので、本研究に参加することで新たな侵襲が生じることはなく、危険はほとんどありません。しかし、万一採血による異常が生じた場合には、直ちに担当医にその旨をご連絡ください。
本研究の結果は、あなたにとって直ちに利益があるわけではありませんが、あなたを含む関節リウマチ患者さんの将来の診断・治療に有効に活用されます。
本研究の成果に基づいて将来、新しい診断方法や治療法の開発に繋がる発明など、いわゆる知的財産権が発生する可能性がありますが、そのすべての権利は京都大学及びアステラス製薬株式会社に帰属し、あなたにはその権利がないことをご了承下さい。
6.プライバシーの保護について
あなたのプライバシーは厳重に保護されます
あなたの血液、尿、関節液、診療記録は、研究する前に住所、氏名、生年月日、病院の診察券番号などを削り、代わりに新しく符号をつけ、誰の試料かが分からないようにした上で、厳重に保管されます。その符号とあなたとの対応表が作られますが、これは特別の担当者により管理され、分析を行う研究担当者は見ることはできません。これによりあなたの分析結果は、分析を行う研究者にも、あなたのものであると分からなくなります。研究の成果は、学会、学術雑誌、厚生労働省のホームページなどに公表されることがありますが、その場合にも、あなたの個人情報は分からないようにデータが処理されます。
7.研究データのデータベースへの登録について
データを公的データベースに登録し、国内外の多くの研究者と共有します
本研究で得られたデータは、公衆衛生の向上に貢献する他の研究を行う上でも重要なデータとなるため、あなたの個人情報は分からないように処理したうえで、RNAデータ中心に、試料採取時の年齢、性別、病状などの疾患の研究に必要なデータを公的データベースに登録し、国内外の多くの研究者と共有します。
8.研究結果の開示について
本研究結果は原則としてお教えしません。ただし、もし重要な遺伝子変異が見つかった場合には、結果を聞くこともできます。
本研究の結果はあなたにとって直ちに利益があるわけではありませんので、原則としてこちらから解析結果をお教えすることはありません。
ただし、本研究ではあなたの遺伝子の配列を解析することがあるので、あなたの健康にとって重要な影響があることがわかっている変異(例えば遺伝病の原因となる変異など)が偶然に見つけられる可能性もあります。その場合、あなたの希望に応じて、お知らせするか、お知らせしないか、を決定しますので、同意書に希望を選択して記入してください。なお、あなたの希望は、いつでも文書により変更できます。
また、そのような遺伝子変異について知らされ、不安や悩みがある場合には、遺伝カウンセリングが利用できます。ご希望がありましたら、担当医師にお話ししていただくか、直接お電話ください。
- 京大病院 遺伝子診療部 075-751-4350(平日13:00~16:30)
9.この試験の本学における位置付けについて
本研究は、本学に設置されている医の倫理委員会にて厳重に審査され、その実施が承認されております。
10.研究終了後の試料等の取扱
あなたの試料は将来別の研究にも使用される可能性があります
あなたから得られた試料を本研究のために使用した後、残りの試料は保存され、将来新たに当院の倫理委員会で承認された場合、別の研究に使用されることがあります。この場合も、あなたのプライバシーは保護されます。
11.利益相反
この研究は、文部科学省とアステラス製薬株式会社より拠出された研究費により京都大学で実施されており、アステラス製薬株式会社の社員が研究分担者として参画しています。
研究の信頼性を確保するために、京都大学とアステラス製薬株式会社との間で研究実施時に起こりうる不正を防止する体制を整備したうえで実施しています。
また、本研究には、アステラス製薬株式会社より資金提供を受け、市販後調査を実施している研究者が関与しておりますが、不正を防止する体制のもと本研究を実施しています。
本学研究者のアステラス製薬株式会社との利益相反については「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規程」に従い「京都大学臨床研究利益相反審査委員会」において適切に審査・管理をしています。
14.問い合わせ先
この研究について何かわからないことや心配なことがありましたらいつでも担当医師にご相談ください。
- 京大病院リウマチセンター
- TEL 075-751-3877
また、本研究に関する苦情などがありましたら、下記にご連絡ください。
- 京都大学医学部附属病院 相談支援センター
- TEL 075-751-4748