アバタセプト(オレンシア)の整形外科周術期合併症に対する影響
1.研究の目的
関節リウマチについて、ここ10年程度で数多くの薬剤が市販され、病気の状態を著しく良くしました。それにもかかわらず、手術治療が必要な方は未だに多くおられます。最近市販された薬剤は、効き目も良い一方、感染症などの合併症を増やすことが報告されています。したがって、手術治療においても感染症を初めとする合併症が増えるのではないかと心配されています。これまでTNFアルファ阻害薬については、周術期合併症、特に手術部感染症を軽度増加させるとの報告がありますが、まったく作用機序の異なるアバタセプト(オレンシア)については、手術に関連した報告はほとんどありません。その理由として、この薬剤が比較的新しい薬剤であることもあって、1施設で投与している患者さんの数が少なく、そのために手術を受ける患者さんも少ないため、充分な解析ができないことが挙げられます。したがって、たくさんの施設が共同で研究を行って、影響を明らかにする必要があります。
2.研究の方法について
データの収集について
2011年から2017年3月までに、関節リウマチの方に対して当院で整形外科手術を行った方のデータを、カルテから収集します。
比較及び評価の方法
アバタセプト(オレンシア)を投与した方と、アバタセプト(オレンシア)を投与していない方の手術合併症を比較し、合併症の発生率に違いがないかを調査します。また合併症に遭った方とそうでない方を比較し、年齢や手術の方法などによって、違いがないかどうかを調査します。
予想される利益・不利益
手術をすでに受けた患者さんについて、特に利益・不利益は生じません。
この試験への参加について
もしこの説明書をお読みになり、ご自分の手術について解析をしてほしくないと思われた場合は、担当医までお知らせください。解析ファイルから、あなたのデータをすべて削除いたします。
プライバシーの保護
この調査で得られた結果は、専門の学会や学術雑誌に発表されることもありますが、患者さんのプライバシーは十分に尊重されます。結果発表の際には慎重に配慮し、患者さん個人に関する情報(氏名など)が外部に公表されることは一切ありません。
費用および謝礼について
費用の免除及び謝礼金はありません。
この研究は主任研究施設である京都大学医学部附属病院整形外科が、オレンシアを販売するBMKK社から資金提供を受けて行う、医師主導型の研究です。同社との間には開示すべき利益相反はなく、本研究で得られた研究成果や知的財産権は、同社に無償で提供されます。ただし一人一人の方のデータは提供されることはありません。
研究実施期間
研究承認日〜2021年3月31日
共同研究機関
以下の23施設になります。
- 京都大学
- 東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター
- 慶応大学医学部附属病院
- 名古屋医療センター
- 東邦大学医療センター大森病院
- 加古川医療センター
- 鎌ヶ谷総合病院
- 横浜市立大学附属市民総合医療センター
- 日暮里リウマチクリニック
- 東京女子医科大学東医療センター
- 大阪南医療センター
- 名古屋大学医学部附属病院
- 富山大学附属病院
- 松原メイフラワー病院
- 九州医療センター
- 奈良県立医科大学附属病院
- 新潟県立リウマチセンター
- 岡山大学附属病院
- 東邦大学医療センター佐倉病院
- 東京大学
- 九州大学
- 大阪大学
- 静岡厚生病院
この研究について何か分からないことや心配なことがありましたら、いつでも担当医師にご相談下さい。
- 研究実施責任者
- 京都大学医学部附属病院整形外科・リウマチセンター 伊藤 宣
- 電話:075-751-3877、fax:075-751-3885
また、研究の実施に支障のない範囲で、計画書などをみることができます。病院の相談窓口は、
- 京都大学医学部附属病院 相談支援センター
- 電話:075-751-4748、e-mail:ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp
です。
平成30年10月