早期関節リウマチ患者における初期治療効果反応性による治療強化の予後予測に関する研究

1.研究の趣旨

研究目的、意義と研究参加へのお願い

この研究の目的は関節リウマチの患者さんを対象にして、実際の治療経過の中で、罹病早期におけるメトトレキサートなどの抗リウマチ薬治療の反応性と、その後の治療経過による治療強化の治療予後の関連を検討することです。

この研究にご参加いただくことで、現在行われているメトトレキサート、生物学的製剤を使用による関節リウマチの積極的な薬物療法について、様々な情報が得られ、今後の治療に役立つ情報が得られることが期待されます。

本研究は主任研究者が在籍する名古屋大学と、京都大学医学部生命倫理審査委員会の承認を受け、研究機関の長の許可を受けて実施している研究です。

研究参加の同意表明の任意性と、表明後の同意撤回の自由について

この研究に参加するかどうかは、ご自身の自由な意思で決めて下さい。たとえ参加することに同意されない場合でも、あなたの今後の治療に影響せず、いっさい不利益を受けません。また、参加することに同意した場合でも、やめたいと申し出られた場合には調査を中止します。その場合でもいっさい不利益を受けません。

なお、この研究への参加を中止された場合でも、関節リウマチの治療は、通常の診療にて継続して行います。診療について一切不利益を受けることはありません。

ただし、論文など研究結果発表後でデータの削除などの対応はできません。

2.研究計画の説明

研究題目 早期関節リウマチ患者における初期治療効果反応性による治療強化の予後予測に関する研究
研究機関名 京都大学医学部附属病院 整形外科
研究責任者の職名・氏名 名古屋大学医学部附属病院 整形外科 講師 小嶋俊久
研究分担者の職名・氏名
  • 京都大学医学部附属病院 整形外科・准教授・伊藤宣
  • 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター・特定助教・村田浩一
  • 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター・特定准教授・田中真生
  • 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター・特定助教・橋本求
  • 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター・特定助教・西谷江平
  • 京都大学医学部附属病院 免疫膠原病内科・助教・村上孝作
共同研究機関名・責任者の氏名 別紙添付の通り。(ただし、共同研究機関や責任者が追加される可能性があります。)
対象とする疾患名 関節リウマチ
調査する全ての資料項目(日常診療から得る情報も含む)
研究のために実施する調査・検査項目
  1. 開始時患者背景: 年齢 性別 罹病期間 合併症
  2. 治療開始時疾患活動性(腫脹、圧痛関節数、患者および医師全般評価、炎症反応(CRP、MMP-3)、身体機能評価(HAQ-DIという質問紙)
  3. 抗リウマチ薬治療開始後の3ヶ月ごとに疾患活動性HAQ-DIを収集する。治療強化された場合は、その治療強化時、以後1ヶ月、3ヶ月後、その後は3ヶ月ごとの疾患活動性
  4. 疾患活動性データ収集時の薬剤
  5. 手足レントゲン 開始時、1年後 2年後
  6. 膝レントゲン 開始時、1年後 2年後
  7. 治療を中止、変更するにいたった有害事象について収集する。
  8. 閉経後の女性患者さん
    骨密度(腰椎 大腿骨) 開始時、1年後、 2年後

診療時の採血にあわせて、本研究のために採血させていただき 治療開始時 に1回、抗CCP 抗体 炎症性サイトカイン(TNF、 IL-6) 骨代謝マーカー(PINP TRACP-5b Sclerostin RANKL) 軟骨代謝マーカー(C2K、C2C)について測定する。

(ただし、生命倫理審査委員会の許可を得て、調査資料項目が追加される可能性があります。)

研究期間 実施承認日から2022年3月31日

研究目的・予測される結果

現在の関節リウマチ(RA)薬物治療は第一選択薬としてのメトトレキサート(MTX)、これが効果不十分であれば、これに他の抗リウマチ薬(DMARD)を追加併用していくという方法が推奨されています。この初期治療とその後の治療強化は実際の治療の中では連続したもので、初期治療の治療反応性は非常に重要な情報と考えられます。ところが、多くの治療強化療法におけるそれ以前のMTX治療の治療効果については、試験開始時のデータからは全く不明です。MTXとの併用療法の効果を検討する上で、併用療法の前のMTX自体の効果を評価しておくことは、併用療法の効果予測に重要と考えられます。 本研究の目的は未治療もしくはほぼ未治療の新規に診断された関節リウマチ患者さんの治療経過を観察し、RA治療の第一選択薬であるMTXを含む抗リウマチ薬による初期治療効果とその後の治療強化の効果との関連を検討することです。また、MTXが使えない場合との治療予後を比較検討することです。これらの検討によりリウマチの早期治療における効率的な薬剤選択のための情報が得られると考えています。

研究への参加をお願いする理由

現在リウマチ治療は早期診断、早期治療が重要です。そこで、早期治療をより効率本研究では、リウマチ治療を開始する、もしくは開始後間もない患者さんを対象としています。

研究方法

治療は、通常の診療のとおり、患者さんとよく話し合いながら進めます。本研究により治療法の選択が影響を受けることはありません。

使用するデータは通常の診療で病状の把握に用いるもので、診察時に得られる腫脹、圧痛関節数、医師、および患者さんの全般評価、HAQ-DIという身体機能をお聞きする質問紙によるもの、そして、血液検査で得られる炎症反応(C反応タンパク、マトリックスメタロプロテネース3)です。これらは、診察時に行い、治療開始時、治療変更時、その後1か月、そして3か月ごとのデータを研究に使わせていただきます。また主たる関節のレントゲン評価として手足レントゲン、膝関節レントゲンを使います。これについては1年ごとに撮影します。

閉経後の女性患者さんにおいては、骨粗鬆症(骨がもろくなる状態)へ進むリスクが高いと考えられていますので骨密度の検査も1年ごとに行います。

同意いただければ、通常の採血に合わせて、治療開始時に一回、通常の診察時に行われる採血に合わせて、10mlの血液を採取させていただき、関節リウマチの自己免疫の異常の状態に関連するといわれる抗CCP抗体、炎症にかかわる物質(サイトカインTNF, IL-6)、骨代謝にかかわる物質(PINP、TRACP、スクレロスチン、RANKL)、軟骨の破壊にかかわる物質(C2C,C2K)を測定します。これらによる、より正確な病状の把握、また治療予後予測についての有用性を検討します。

血液検体については、今後新たな知見が得られた場合、その解析に使いたいと考えていますので、測定の残りは保存させていただく予定です。新たな解析を行う場合は倫理委員会の承認を得て行います。

本研究で使われる情報は、患者さん個人の特定ができないよう匿名化を行い、収集されます。

研究終了後における研究対象者への対応

本研究中、さらには終了後も通常通り、診療を継続させていただきます。繰り返しになりますが本研究に参加することが、治療の選択に影響を与えることはありません。

実施計画などをさらに知りたいとき

希望があれば、差し支えない範囲で研究計画の内容を見ることができます。

3.研究対象者にもたらされる利益及び不利益(起こり得る危険・不快な状態)

この研究は通常の治療の経過を観察させていただくもので、この研究に参加した場合の利益は生じません。不利益としては、同意いただける場合は、治療開始時に一回通常の採血に合わせて10mlの血液検体をいただくことが挙げられます。通常の診察の採血に加えて針を刺すことはありませんので、疼痛が増えることはないと考えます。

本研究の参加に対する謝礼・手当てはとくにありません。

4.研究に参加しなかった場合の対応(他の治療法の有無やその内容)

不利益を被ることはなく、通常どおりの医療(診断や治療)を受けることができます。血液検体の提供に同意いただけなくとも、研究への参加は可能です。また、同意いただけなくとも治療自体にはまったく影響はありません。

5.個人情報の保護

この研究で得られた結果は、私たちが報告書にまとめ、学会や医学雑誌、UMIN臨床試験登録システム(臨床試験情報のデータベース)などで公表されることがありますが、あなたの個人情報が公表されることは一切ありません。具体的には、私たちが研究に係るデータとして、この研究の事務局である名古屋大学医学部附属病院整形外科で収集しますが、その際にあなたの名前や住所、電話番号など個人情報の代わりに符号を用います。これにより、研究データから個人を特定することができなくなります。

6.研究情報の開示

ご希望があれば、差し支えない範囲で研究の計画内容をご覧になることができます。また、この研究についてわからないことや心配に思うことがあれば、いつでも遠慮なく私たちにお尋ねください。

本研究においては、通常診療で行う以外の物質の測定を行いますが、その結果については研究のレベルにあり開示は致しません。

7.研究情報の公開方法、また研究結果の公表

研究情報はUMIN臨床試験登録システム(臨床試験情報のデータベース)等にて公開いたします。この研究で得られた結果は、私たちが報告書にまとめ、学会や医学雑誌、UMIN臨床試験登録システム(臨床試験情報のデータベース)などで公表されることがありますが、あなたの個人情報が公表されることは一切ありません。

8.研究から生ずる知的財産権について

研究成果から、特許等の知的財産権が生じた場合は、研究者と研究機関がその知的財産権を持ちます。

9.研究に利用した試料、情報の保管・廃棄方法について

あなたに同意していただけるのであれば、将来の医学研究のための貴重な資料として、あなたから得られたデータを研究終了後も10年間は保管したいと考えています。また可能ならば将来、これらの資料を別の医学研究に用いたいとも考えています。その場合には、あらためて生命倫理審査委員会に申請を行い、承認を受けた上で実施します。

10.研究用の検査・治療の費用について

本研究では、通常行われる診療の結果を観察するものですので、治療については保険診療内でおこなわれ、治療費は通常通り患者さん自身に負担していただきます。通常診療内で行われない研究用の検査については、患者さんに負担いただくことはありません。

11.有害事象・健康被害発生時の対応等

有害事象とは、本研究との因果関係の有無に関わらず研究実施中に発生した好ましくない又は意図しない傷病若しくはその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいいます。本研究は通常の保険診療として認められた治療の結果を観察するものですので本研究による有害事象は生じません。治療によりおこる有害事象に対しては、通常通り最善の医療措置を実施するよう努めます。

ただし、採血量は合計で30ml余分になりますが、通常の採血に合わせて行うため、余分に針を刺すことはありません。

12.モニタリング・監査

本研究は観察研究であるため、とくにモニタリング、監査等の調査は行わない予定です。

13.研究資金・利益相反

この研究は日本イーライリリー株式会社から研究費の支援を受けて実施するものです。

また別の研究で中外製薬株式会社、ブリストルマイヤーズから資金提供を受けています。

日本イーライリリー社、および中外製薬、ブリストルマイヤーズ社は本研究の研究計画書等の立案、作成及びデータの統計解析を含む評価に一切介入いたしません。

治療経過によって日本イーライリリー社の製品(商品名オルミエント)、中外製薬の製品(商品名アクテムラ)ブリストルマイヤーズ社の製品(商品名オレンシア)を使用する可能性がありますが、他剤の選択も公平に提示、説明します。研究担当者が金銭的な利益やそれ以外の個人的な利益のために医学的な判断を曲げることは一切ありません。また、企業との雇用関係ならびに親族や師弟関係等の個人的な関係なども一切ありません。

利益相反については、「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規定」に従い、「京都大学臨床研究利益相反審査委員会」において適切に審査しています。

14.同意取得時には特定できない研究

あなたに同意していただけるのであれば、将来の医学研究のための貴重な資料として、あなたから得られたデータを研究終了後も保管したいと考えています。また可能ならば将来、これらの資料を別の医学研究に用いたいとも考えています。その場合には、あらためて生命倫理委員会に申請を行い、承認を受けた上で実施します。

15.研究結果を他の機関へ提供する可能性について

本研究の結果を他の機関へ提供する可能性はありません。

16.問い合わせ・苦情の受付先

問い合わせ先

当院における担当者
京都大学医学部附属病院 整形外科・リウマチセンター
試験責任医師
伊藤 宣(准教授)

他の研究参加施設をお知りになりたい方は、担当医までご連絡ください。

この試験についてのさらに詳しい内容や試験の結果等をお知りになりたい場合や、ご心配なことがある場合は、遠慮なく担当医師または臨床試験部にご相談ください。

京都大学医学部附属病院
代表: 075-751-3111
リウマチセンター
内線 3877
整形外科
内線 3366
京都大学医学部附属病院 相談支援センター
電話:075-751-4748
E-mail:ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp
夜間休日
休日・夜間電話対応窓口: 075-751-3093