リウマチセンター6周年記念講演会を開催しました

リウマチセンター6周年記念講演会
2017年6月9日(金)18時より、紫蘭会館・稲盛ホールにて京都大学医学部附属病院リウマチセンター6周年記念講演会を開催しました。当日は、学内28名・学外17名、企業49名、計94名の方にご出席をいただきました。

式次第
1. 開会の辞
免疫・膠原病内科 教授・リウマチセンター長 三森 経世

2. 京大病院リウマチセンター6年間の実績と今後の展望について
座長 リウマチセンター 特定准教授 田中 真生
リウマチセンター 特定助教 橋本 求
整形外科 准教授 伊藤 宣
リウマチセンター 特定准教授 田中 真生

3. 特別講演
座長 免疫・膠原病内科 教授・診療科長・リウマチセンター長 三森 経世
「関節リウマチにおける臨床疫学研究の進歩と課題」
東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター
リウマチ性疾患薬剤疫学研究部門 特任教授 針谷 正祥 先生

4. 閉会の辞
整形外科 教授 松田 秀一

講演内容
京大病院リウマチセンター6年間の実績と今後の展望について、1) KURAMAコホートのあゆみと展望、2) リウマチセンターの歴史と診療および研究の実績、3) リウマチセンターの今後の展望と発展-の3部にわけて担当スタッフが発表しました。

Ⅰ. 京大病院リウマチセンター6年間の実績と今後の展望について
1) KURAMAコホートのあゆみと展望(橋本助教)
京大病院リウマチセンターでは、2011年5月のリウマチセンターの開設初日から、センターを受診する全患者の全受診日の診療データをKURAMA(Kyoto University Rheumatoid Arthritis Management Alliance)データベースに登録しています。リウマチセンターは、KURAMAコホートを活用して活発な研究活動を行っており、日本リウマチ学会では毎年10報以上のKURAMA関連演題を発表しています。また、他診療科や、看護部、臨床検査部、リハビリテーション部、薬剤部などとの共同研究も活発に行っています。さらに他大学とも連携をすすめ、2016年には、関西の6大学(京都大学、大阪医科大学、関西医科大学、神戸大学、奈良医科大学、大阪大学)およびその関連病院で、KURAMAをひな形にした多施設共同データベースANSWERコホート(Kansai consortium for well-being of rheumatic disease patients)を構築しました。日常診療をそのまま研究に活用できるKURAMAコホートシステムを活用して、関西や日本から、関節リウマチに関する質の高いエビデンスを発信していきたいと考えています。

2) リウマチセンターの歴史と診療および研究の実績(伊藤准教授)
関節リウマチは長足の進歩を見せていますが、未だに一定の割合で疾患活動性の高い方や機能障害が残る方がおられます。総合的に治療をするためには、内科的な治療と外科的な治療を適切に組み合わせて治療する必要があります。このような理念のもと、京大病院リウマチセンターは2011年4月に設立され、これまで多くの独自の取り組みを行ってきました。例えば患者さんに対する情報提供として、京大リウマチ通信の発行、リウマチ教室の定期的な開催、生物学的製剤パンフレットの作成、患者リウマチレポートの配布などがあります。また患者コホートとしてKURAMAコホートを構築しました。またさまざまな連携として、地域連携としての京都リウマチネットワークフォーラムの開催、他科連携として京都インフリキシマブセミナーの開催、コメディカルとの連携とし京都リウマチメディカルスタッフフォーラムや京都RAチーム医療を考える会の開催などです。また診療実績として外来で2016年12月までにのべ30,450名の患者さんを診察し、多くの治療薬を有効に使うことで、疾患活動性も年々着実に低下してきています。患者さんの受診数の増加だけでなく、コホート研究論文も増加し、ここ2年ほどは、年に10本以上の英文論文を報告できています。しかし現代の医療状況、社会環境に呼応して、患者さんの高齢化の問題、機能的な寛解を達成するために手術治療をいかに組み合わせるかという課題など、多くの課題があります。これからもよりよい治療を目指して、リウマチセンターをあげて取り組んでいきたいと思います。

3) リウマチセンターの今後の展望と発展(田中准教授)
リウマチ専門医数の地域格差は大きく、京大病院は京都市のみならずリウマチ・膠原病疾患では近畿圏の基幹病院に位置します。そしてこれまで大津赤十字病院、滋賀成人病センター、市立長浜病院などに京大病院から医師を派遣してきました。そのなかでも、滋賀県長浜市は京都から遠く、患者数も多いため、将来的に非常勤医師の派遣だけでは、患者さんに十分な専門診療を提供できないおそれがありました。長浜市は市民の健康増進に熱心な自治体で、1次予防(病気にならないように気をつける)に先んじる予防、0次予防を目指し、2007年より京都大学ゲノム医学センターと共同事業で、「ながはま0次コホート」事業を進めていました。このような経緯より、私たちは長浜市にコホート研究のできる学究的リウマチ診療の拠点をつくる構想を呈示したところ、長浜市の思惑と合致し、第Ⅲ期寄附講座(リウマチ性疾患先進医療学講座)の立ち上げに参画していただきました。本講座は前講座を継承発展させると共に、新たに長浜市にリウマチ性疾患の先進医療と臨床研究・市民啓発・医療教育の拠点を形成することを目指します。寄附講座として、地方自治体とのこのような共同事業は、他に例がなく新しい試みであり、皆さまのご期待に沿うようスタッフ一同努めたいと思います.

Ⅱ. 特別講演-関節リウマチにおける臨床疫学研究の進歩と課題 (東京女子医大医科大学 針谷特任教授)
東京女子医大医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの関節リウマチ患者コホート(IORRA、イオラ)は、2000年に開始されたJ-ARAMIS(ジェイ・アラミス)を前身として発展してきました。J-ARAMISは米国で1975年(~2005年)から実施されていたARAMIS (Arthritis Rheumatism and Aging Medical Information System) という臨床調査の日本版として,スタンフォード大学と提携して開始されていたものです。IORRA調査は患者さんの記入する調査用紙に医師の評価と検査所見が加わった構成で発展してきました。その調査結果を解析した論文発表も多数となり数多く発表され、コホート研究による臨床観察研究の重要性が広く認知されるようになっててきましたたと思います。実際、IORRAにつづき、関節リウマチ患者コホートとして国立病院機構のNinJa(ニンジャ)、京都大学のKURAMA(クラマ)はじめ、多数のコホート研究が日本各地で立ち上げられましたがっています。そしてコホートによるを使用した臨床観察研究はから、実臨床に根差したかたちで多くのエビデンスが得られてきました。関節リウマチに対する新たな治療薬の開発を背景に、し、今後も新たなエビデンスが誕生するとを提供することでしょう期待されます。

三森 経世 教授

 

 

 伊藤 宣 准教授

 

 

田中 真生 特定准教授

 

 

橋本 求 特定助教

 

 

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター

リウマチ性疾患薬剤疫学研究部門

針谷 正祥 特任教授

 

 

画面左 針谷 正祥 特任教授

画面右 三森 経世  教 授

 

 

 

松田 秀一 教授

 

 

スタッフ一同